蕁麻疹について

蕁麻疹というと皆さんはすぐに「あっ、かゆい病気だ」と思うと思います。そうです。急にあちこちがかゆくなり、かゆいところを見ると蚊に刺されたときに出るちょっと腫れた赤いぶつぶつが、小さかったり大きかったり、地図のように広がっていたりします。その皮疹は、じゅくじゅくとした浸出液が出ていたりしませんしカサカサもしていません。かゆいので掻くと掻いた部分がさらに赤くなり痒さが増してきます。1個、1個の赤い皮疹は時間がたつとひいてきますが、気が付くとほかの場所に出ていたりします。この出たりひいたりする地図のような赤い皮疹が特徴です。

 

 

 

蕁麻疹では1つ大事なことがあります。まれではありますが、蕁麻疹がアナフィラキシーの部分症状のことがあることです。それがなければかゆいのはつらいですが命にかかわることはありません。

蕁麻疹が出ているときに息が苦しい、ゲボゲボ吐き続けて強い腹痛が続いたり、座ったり起きていられず横になったり、意識がないなどは蕁麻疹という皮膚の症状だけでなく、のどなどの呼吸器系、胃腸など消化器系、血圧が下がって循環器系、あるいは中枢神経系と他の臓器にも異常が認められるアナフィラキシーの状態となります。

命にかかわりますので、この場合だけはすぐに病院などで治療を受けなくてはいけません。大至急です。それだけは覚えておいてください。

 

 

 

実は蕁麻疹の原因は不明のことが多いのですが「あっ、食べ物のアレルギー」だとわかる場合もあります。統計的には数パーセントが食べ物のアレルギーです。食べて、早い人は10分から30分くらいでかゆくなり赤い皮疹がぼこぼこ出てきます。

納豆や4つ足動物の肉(ハムや豚肉、牛肉など)では食べてから数時間後ということもありますが、多くは食べてから早くに蕁麻疹が出ます。ただし自己判断で「これが原因だ」と決めつけて誤ることもありますから、医師の診察を受けた方がよいと思います。人によってはアレルギーの原因になる食べ物を口に入れた直後から口がかゆいとか、いがいがしたり、味に変化(苦く感じたり)などと違和感を感じる人もいます。これは口腔アレルギーを起こしており、ここからたまにアナフィラキシーに進むこともあります。

 

 

 

その他に原因のはっきりしている蕁麻疹のなかには、ある薬を飲むたびにかゆくなる薬疹や、下着のゴムなど締め付けた部分に入浴時に赤い皮疹が出ていたりする機械的蕁麻疹(物理的蕁麻疹)、寒いところに行ったり冷たいプールに入ったりして出現する寒冷蕁麻疹、温熱蕁麻疹、日光蕁麻疹など原因のはっきりしているものもあります。この場合原因にかかわらなければ蕁麻疹は起こりません。その原因にかかわりがあると蕁麻疹が起こります。

蕁麻疹の原因を探るには、蕁麻疹が出た直前にどんなものを何時ころに食べ、のみ、どんな行動をした(頭痛薬を内服したとか走ったとか)、ということを申告していただくことが必要です。

ところが原因のはっきりしない原因不明の蕁麻疹が約7割もあります。原因の不明の蕁麻疹を特発性蕁麻疹といいますが、実際にはこちらの方が多いのです。

原因のはっきりしない特発性蕁麻疹の方が多いので、この場合の治療の話をしようと思います。蕁麻疹が出て6週間以内を急性蕁麻疹、6週間以上続いているものを慢性蕁麻疹といいますが、どちらもまずかゆみを抑える力のある抗ヒスタミン薬を使います。治りが悪いときには薬を増やしたり他の作用の薬を追加したりします。最近は特殊な薬を使用することもあります。蕁麻疹は早く治ることもあれば薬が効果の出にくい方もいらっしゃいます。場合によっては治療に2年もかかることもあります。

 

 

 

また蕁麻疹の原因のはっきりしている場合は、まずはそれを避けることです。そうすれば蕁麻疹が起こらないはずです。かゆい思いをしないためにもその原因は避けましょう。

といっても避けられないものもありますので、その場合は皮膚科で相談し内服薬の処方や生活の指導などを受けてください。

蕁麻疹はその人によって違いますが、まずは皮膚科を訪ねてください。

 

 

文責:渡辺医院 渡辺 富美子